現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「この手があったか」ライバルが歯噛みした意欲作! 初代ワゴンRが爆売れした理由とは

ここから本文です

「この手があったか」ライバルが歯噛みした意欲作! 初代ワゴンRが爆売れした理由とは

掲載 更新 37
「この手があったか」ライバルが歯噛みした意欲作! 初代ワゴンRが爆売れした理由とは

スッキリとした室内の広さに驚かされた

 筆者個人の認識と記憶が正しければ、初代ワゴンRの登場はイキナリだった。誤解なく言っておけば、決して“急造車”だった訳ではなく、企画自体は発表の数年前から動いていたという。しかし、これだけの存在感のあるクルマだったにもかかわらず、世間ではノーマークだったというか、事前のスクープやこんなクルマが出るらしい……のウワサもほとんど流れていなかったような気がする。

「安かろう良かろう」のスズキ! 100年の歴史はアイディアと技術力のカタマリだった

 ついでながら実車を初めて見たときのことも覚えている。初代ワゴンRの正式発表・発売は1993年9月3日だったが、その直前、雑誌媒体向けの事前撮影&取材会があり、横浜某所のスズキの関連施設で実車を目の前にしたのが初対面だった。 ただしその日(発表前の8月中だったと思う)は大型台風が首都圏を直撃、まさに“昼過ぎには上陸”といった状況。なので屋内のインタビューはともかく、撮影部隊は果たしてどうやって仕事をこなしていたか。

 雨だけは凌げるちょっとした屋根の下のような場所でストロボをバシバシ焚きながら撮影を強行したのか? 屋外に出れば瞬間に傘はひしゃげるし、首からぶら下げていた大事な仕事道具のCONTAX Tvs(初代ワゴンRと同じ1993年発売の、チタンボディの当時のフィルムカメラ)が濡れないようかばうことに必死になったり、建物のエントランスで、自動ドアが開くたびに吹き込む折りからの強風と濡れた床で足を滑らせそうになったり……と、(じつはクルマのことよりも)とにかく相当に過酷なコンディションでの取材会だったことのほうが、まず頭をよぎる。

車名の“R”は「Revolution」と「Relaxation」を意味する

 初代ワゴンRに話を軌道修正しつつ、今だから白状しておくと、「あら、21年前(1993年時点)のホンダ・ライフステップバンのスズキ版!?」が筆者の第一印象だった。冒頭にも書いたとおり何しろ何の予備知識もないままの実車との対面だったから、ステップバンを知っていれば誰でも条件反射的にそう思ったはずだ。

 とりわけ背が高くショートノーズのフォルムは、そう思わせた主な要因。と同時に、スズキが模倣したというより、ホンダに対して「ほーら、ステップバンの後継車を作らないからスズキに先を越されちゃいましたね」と、そんな思いを抱いた。 それくらい、それまでの他の軽自動車とはひと味もふた味も違う先進性、斬新さ、提案をひと目見て感じさせてくれたのが初代ワゴンRだったのである。車名の“R”は、Revolution(革新、画期的)とRelaxation(寛ぎ)のふたつの意味と思いが込められたもので、発表当時、一部で囁かれた“ワゴンでア~ルだからワゴンR”は、もちろん公式見解ではなかった(初代アルトのCMで“アルトがあると……”というのはあったが)。

ボディデザインは軽自動車ながらクッキリとシンプルだった

 外観では1680mm(ルーフレール込み)の高い全高と2335mmのロングホイールベース(当時のセルボ・モードがベースだった)に、右側1枚、左側2枚の1+2ドアが特徴。縦に大きいヘッドライトを配したデザインは、コンパクトな軽自動車ながらクッキリとシンプルであり、骨太感のあるもので、そんなスマートな道具感に好感の持てる仕上がりだった。 室内も、今のような軽のスーパーハイトワゴンなどない時代だったから、スッキリとした広さに驚かされた。ポイントはフロアからシート座面を高い位置に置き、背中を立てて座る、いわゆるアップライトな姿勢としたこと。前席座面高は625mm(FF車)とし、反対にサイドシルは315mm(同)と低く、さらにドア開口部の上下寸法のゆとりも大きかったから乗降性のよさも特徴だった。

実用性をさりげなく高めるスマートなアイデアも満載だった

 また運転席をクルマの中心寄りに30mmオフセットした非対称レイアウトとし、シート自体も助手席より大きく設計。ドライバーがゆったりと座れるように配慮されていた。これは軽自動車以外のユーザーからも注目された理由のひとつでもあった。

 助手席の座面の下にセットされた約16Lのシートアンダーボックス、背もたれを倒すだけのワンアクションで座面が沈み込みながら畳まれるダブルフォールド式の後席など、実用性をさりげなく高めるスマートなアイデアも満載だった。 登場直後初の追加機種は1993年11月登場の“Loft”で、(少し前の“コラボモデル”の記事で取り上げたばかりだが)このクルマには電動スライド式ガラスサンルーフを装備。 1995年2月になるとターボを設定、さらに1996年4月には5ドアが特別仕様として登場し、同年8月には正式なカタログモデルとなった。 1996年10月には発売から3年で累計販売台数50万台を達成。1997年になるとオールアルミのDOHCエンジン(ターボとNA)を登場させたほか、外観、インパネなどのデザイン変更を実施。この1997年には、1Lエンジンを搭載し、軽のワゴンRよりも全幅が180mm広いワゴンRワイドをデビューさせている。

初スライドドア仕様のワゴンRスマイルが登場

 先ごろ、シリーズでは初スライドドア仕様のワゴンRスマイルを登場させたばかり。ワゴンRは初代の登場から数えて今年で早28年、現行モデルで6世代目となり、進化を果たしてきた。とはいえ、やはりワゴンRというと、いまだにこの初代のイメージが真っ先に頭に思い浮かぶのは、それだけ存在感、インパクトがあったということだろう。 初代ワゴンRの広報資料を見返すと「余暇の増大にともない、個人生活を大切に考える人たちが、ますます増えています」の文言があった。余暇の増大……はともかく、今でも(今だからこそ)通用する普遍的なコンセプトを打ち出したクルマだった。

こんな記事も読まれています

キジマの極小ウインカーランプ Nano シリーズ用「ウインカーステー」が発売!
キジマの極小ウインカーランプ Nano シリーズ用「ウインカーステー」が発売!
バイクブロス
CT125ハンターカブ用「ZETA エンジンプロテクション アンダーガード」がダートフリークから発売!
CT125ハンターカブ用「ZETA エンジンプロテクション アンダーガード」がダートフリークから発売!
バイクブロス
KTM新型250デューク試乗「 OHCの新エンジンは2スト的な特性!? 車体はよりコンパクト&フレンドリーに」
KTM新型250デューク試乗「 OHCの新エンジンは2スト的な特性!? 車体はよりコンパクト&フレンドリーに」
モーサイ
ヒョンデのモバイルサービスカー「ヒョンデQちゃん」2号機発進! 出張メンテナンスをするだけではない第二の役割にも期待
ヒョンデのモバイルサービスカー「ヒョンデQちゃん」2号機発進! 出張メンテナンスをするだけではない第二の役割にも期待
THE EV TIMES
ヤマハ発動機、大型バイク「YZFーR1」の騒音試験などで不適切行為 基準適合は確認
ヤマハ発動機、大型バイク「YZFーR1」の騒音試験などで不適切行為 基準適合は確認
日刊自動車新聞
第2戦で発生したFIA-F4のエンジン問題についてGTA坂東代表が説明。第3戦/第4戦は無事開催
第2戦で発生したFIA-F4のエンジン問題についてGTA坂東代表が説明。第3戦/第4戦は無事開催
AUTOSPORT web
コースオフ喫したランキング首位ヌービル「ブレーキをかけるのが遅すぎた」/WRCイタリア デイ2後コメント
コースオフ喫したランキング首位ヌービル「ブレーキをかけるのが遅すぎた」/WRCイタリア デイ2後コメント
AUTOSPORT web
ホンダ、過去に販売した22車種で不適切行為が判明 いずれも法規基準はクリア
ホンダ、過去に販売した22車種で不適切行為が判明 いずれも法規基準はクリア
日刊自動車新聞
「あぶねッ!首都高入るとこだった!」誤進入注意の入口3選 もう時遅し…どうすべき?
「あぶねッ!首都高入るとこだった!」誤進入注意の入口3選 もう時遅し…どうすべき?
乗りものニュース
ホンダ新型「“最強”シビック」初公開! “顔面刷新”&200馬力化でめちゃ楽しそう! 3年ぶり進化の「スポーティハッチバック」は“2024年秋”にも日本導入か
ホンダ新型「“最強”シビック」初公開! “顔面刷新”&200馬力化でめちゃ楽しそう! 3年ぶり進化の「スポーティハッチバック」は“2024年秋”にも日本導入か
くるまのニュース
うおーワーゲンがここまでワイルドに! ルウディクスが作ったオフロード仕様ビートルがカッコよすぎる!
うおーワーゲンがここまでワイルドに! ルウディクスが作ったオフロード仕様ビートルがカッコよすぎる!
ベストカーWeb
5億8200万円! 本物のフェラーリ「365GTS/4スパイダー」は別格でした。クラシケ認定の有り無しで跳ね馬の価値は大きく変わります
5億8200万円! 本物のフェラーリ「365GTS/4スパイダー」は別格でした。クラシケ認定の有り無しで跳ね馬の価値は大きく変わります
Auto Messe Web
ハミルトン、メルセデスでの”後任”にF2アントネッリを支持。期待の秘蔵っ子どうなる
ハミルトン、メルセデスでの”後任”にF2アントネッリを支持。期待の秘蔵っ子どうなる
motorsport.com 日本版
コンセプトは「人生に、駆けぬける歓びを」──BMWのブランドストアが元麻布ヒルズにオープン|BMW
コンセプトは「人生に、駆けぬける歓びを」──BMWのブランドストアが元麻布ヒルズにオープン|BMW
OPENERS
レクサス製の新型ハイブリッドコンパクトSUV「レクサス UX 300h」快適性重視の性能と実力をチェック
レクサス製の新型ハイブリッドコンパクトSUV「レクサス UX 300h」快適性重視の性能と実力をチェック
AutoBild Japan
トヨタ、7車種で認証不正が判明 ヤリスクロスやカローラフィールダーなど現行モデル3車種を出荷停止
トヨタ、7車種で認証不正が判明 ヤリスクロスやカローラフィールダーなど現行モデル3車種を出荷停止
日刊自動車新聞
BMW『コンセプト・スカイトップ』…2シーターオープンがヴィラ・デステに登場[詳細画像]
BMW『コンセプト・スカイトップ』…2シーターオープンがヴィラ・デステに登場[詳細画像]
レスポンス
【カワサキ】「Kawasaki Plaza Racing Team」が 伊藤忠商事とのスポンサー契約を締結!
【カワサキ】「Kawasaki Plaza Racing Team」が 伊藤忠商事とのスポンサー契約を締結!
バイクブロス

みんなのコメント

37件
  • 「キャビンを背の高い形状にすることで、運転席から荷室にかけ広々とした車内空間を作る」というコンセプトの『ミニカトッポ』を"軽トールワゴンの元祖"とする文献も、確かにある。

    だが、この一見同じように見えるコンセプトは、その設計思想が全く違うのだ。

    『トッポ』が、ただ単に屋根を高くしただけで、あとは運転ポジションも何も、ほとんど従来型の『ミニカ』と変わらないのに対し、『ワゴンR』は、フロアパネルを新設計の二重構造にすることで、座面を高くして乗員の視点を上げ、眺望性・視認性および開放感を向上させると共に、乗降のし易さまで獲得している。

    同時期、スズキは『ハッスル』で『トッポ』に対抗したが、やはり単に屋根を高くしただけでは売れなかった。また「『ステップバン』こそ元祖」とする説もあるが、その発想はあくまで商用バンの亜流であり、市場規模を変える程のインパクトは無いことからも『ワゴンR』こそが"元祖"なのだ!
  • 他社が真似すればするほど、本家まで没個性になって行くのは残念なところ。
    今は現行型としてのコンセプトなんてないもんね。もちろんスズキだけの問題ではない。
    これがフツーになって、かえってアルトが個性的に思えるほど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

129.5158.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1300.0万円

中古車を検索
ワゴンRの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

129.5158.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1300.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村